足利政知（あしかがまさとも）

生年月日	１４３５年７月１２日
没年月日	１４９１年４月３日
幼名
通称
別名	清久
官位	従三位　左馬頭
家系	足利将軍家
父	足利義教
母	斎藤朝日の妹（少弁殿）
正室
側室	武者小路隆光の娘（円満院）

年表

１４３５年 ７月１２日	室町幕府７代目将軍の足利義教と側室の少弁殿の四男として生まれる。幼少期から僧として育てられ、天龍寺香厳院主となり清久と名乗った。
１４５７年 １２月１９日	弟の室町幕府８代目将軍の足利義政の命により還俗、この際に足利義政からの偏諱を受けて、「政知」と名乗った。従五位下に叙任し、左馬頭に任官。
１４５７年 １２月２４日	足利政知は京都を出立、一旦近江国園城寺に留まった。
１４５８年 ５月２５日	征旗が渡され、関東へ出発した。
１４５８年 ６月頃	補佐役である関東執事の渋川義鏡と上杉教朝を連れて室町幕府公認の鎌倉公方として派遣されるが、享徳の乱を起こして室町幕府と敵対状態にあった古河公方の足利成氏の勢力が強大なため鎌倉に入ることができず、伊豆国堀越に逗留した。堀越公方。
１４５８年 ７月	奥羽・甲斐国・信濃国など関東周辺の大名・国人衆に出陣を命令、足利政知を中心とした大規模な足利成氏討伐計画を進めていたが、関東出兵を命じられていた越前国・尾張国・遠江国守護の斯波義敏が足利義政の命令に従わず内紛（長禄合戦）鎮圧のため越前国に向かった。
１４５９年 ５月	足利義政の怒りを買い更迭されたため斯波軍の出陣は中止された。
１４５９年 １０月	太田庄の戦いで関東の幕府軍が足利成氏軍に敗北したため、足利成氏討伐計画が失敗したばかりか諸大名の信用も失い、足利政知は自前の軍事力がない中途半端な状態のまま伊豆国に留め置かれることになった。
１４６０年 １月１日	鎌倉に派遣されていた駿河国守護の今川範忠が帰国した。
１４６０年 ４月	足利政知の陣所である堀越国清寺が足利成氏方に焼き討ちされる事態にまでなり、足利政知は堀越御所に場所を移した。足利成氏討伐どころか自らの命さえ危うい状況であり、足利政知は使者を京都へ向かわせ幕府と対応を協議した。
１４６０年 ８月	斯波家の家臣である朝倉孝景・甲斐敏光が派遣され軍事力の目処は立った。
１４６０年 ８月２２日	足利政知が斯波軍の兵力を背景に鎌倉へ移ろうとすると足利義政に制止された。これは室町幕府が関東の室町幕府方勢力である上杉家と堀越府が結びつき、堀越府が自立することを恐れて幕府の統制下で繋ぎ止めようとしたからであり、軍事指揮権も足利政知ではなく幕府が掌握、足利政知の頭越しに関東諸侯に命令していたため足利政知に実権は全く無かった。
１４６１年 ８月２日	足利義政の命令で斯波家の家督交代が行われ、斯波義敏の斯波義寛が出家、代わりに渋川義鏡の子の斯波義廉が斯波家当主となった。この足利義政の行動は室町幕府統制を継続させる代わりに堀越府の軍事力を強化するためであり、足利政知の執事の渋川義鏡が斯波家当主の父という関係を築き、斯波軍を堀越府の直轄に置こうとする処置からであった。だが、足利政知の家臣が勝手に鎌倉や相模国人の所領に入部しようとしたり、扇谷上杉家の家宰の太田資清が隠居、足利政知のもう１人の補佐役の上杉教朝が原因不明の自殺を遂げるなど関東の室町幕府方が不穏な動きを見せ始める。
１４６２年	足利政知が渋川義鏡の讒言を信じ、扇谷上杉家当主の上杉持朝の反逆を足利義政に通報したため上杉家内部で足利政知擁立に異論が出され、足利政知は上杉持朝の相模国守護職を停止させ相模国を接収したが、足利義政が足利政知に上杉持朝の保護を命令、上杉持朝の重臣の三浦時高・千葉実胤らが隠居する騒ぎに発展した。ここに至り足利義政は自ら調停に乗り出し、上杉持朝ら扇谷上杉家の地位を保障する一方、政争を引き起こした渋川義鏡を堀越府から追放して事態を収拾させた。足利政知は結果的に自ら鎌倉入りの可能性を閉ざし、渋川義鏡が失脚したため斯波軍の編成も失敗に終わった。
１４６２年	上杉政憲が新たな関東執事として活動、上杉政憲と共に上杉家など関東諸侯との関係修復に努めた。
１４６５年	足利成氏が再び攻撃して来た時は上杉政憲を前線の五十子陣へ派遣している。また、渋川義鏡の失脚で斯波家の合力が期待できなくなったため、代わりに東駿河の国人衆との結びつきを強めた。
１４７０年 １１月２６日	従四位下に昇叙。
１４７１年	堀越御所を襲撃した足利成氏を上杉軍の加勢で撃破、足利成氏の本拠地古河城を攻め落とした。
１４７２年	足利成氏が復帰したため振り出しに戻った。
１４７５年 ９月９日	従三位に昇叙。左近衛督に留任（任官時期不詳）。
１４７６年	駿河国守護の今川義忠が戦死してお家騒動が起こると上杉政憲を駿河国へ派遣して扇谷上杉家の家宰の太田資長と共に介入、調停の結果、今川義忠の従兄弟で上杉政憲の外孫の小鹿範満が今川義忠の子の今川氏親の代理として置かれることになった。この最中に山内上杉家の重臣の長尾景春が反乱を起こした（長尾景春の乱）。
１４７６年	駿河国から帰還した太田資長が長尾景春の乱を鎮めている最中に足利成氏が長尾景春方に味方して参戦した。
１４７８年 １月	危機に陥った両上杉家は和睦を考えるようになり足利成氏と幕府との和睦の仲介を約束して足利成氏と和睦した。
１４８２年 １１月２７日	足利成氏と室町幕府の和睦が成立して享徳の乱は終結した。和睦に至るまで足利政知は足利成氏ら古河公方勢力と２０余年に渡る抗争を繰り広げたが、室町幕府は応仁の乱の最中であったため満足な軍事力を付与してもらうことができず、関東一円を制することは叶わなかった。最終的に堀越公方は和睦で伊豆１国のみの支配者となり、足利政知は和睦を進めた上杉政憲とそれに同調した伊豆国人衆に不満を抱くようになった。
１４８５年	左近衛督を辞任。
１４８７年 ６月	次男の清晃（後の足利義澄）を上洛させ足利義政と対面させた。また、長男の足利茶々丸を廃嫡して三男で足利義澄の同母弟の足利潤童子を後継者に定め、廃嫡を諌めた上杉政憲を自害させた。
１４８７年 １１月	かつて上杉政憲が今川家の当主に擁立を図った小鹿範満が今川氏親を擁する伊勢盛時に滅ぼされる事件が起こったが、足利政知はこれを黙認した。一連の動きは管領の細川政元（足利義澄兄弟の母方の従兄弟・細川澄之を猶子に迎えていた）や政所執事の伊勢貞宗（伊勢盛時は貞宗の従弟とされ、今川氏親は伊勢家の血を引いている）と連携して室町幕府１０代目将軍の足利義材（義稙）の廃立を目的とした計画で、足利義澄を次の将軍に、足利潤童子を堀越公方として足利成氏討伐を再開させる狙いがあった。
１４９１年 １月	病に倒れた。
１４９１年 ４月３日	伊豆国で病死した。５７歳。